COFFEE HUNTERS STORY
1970年代に一世を風靡したムンド ノボの復活
1940年代、ブラジルのカンピーナスの農業試験場で、スマトラ産のティピカ種とブルボン種の自然交配種が確認されました。高品質の上に、ブルボンより30パーセントも収量がよいこの新品種は、ムンド ノボ(新世界)と名付けられ、ブラジルを代表する主品種として有名になりました。
しかし、1970年にサビ病がブラジルに伝染して以降は、徐々に品質より病気に耐性のある小ぶりの人口交配種が持て囃されるようになり、また自走式機械収穫機が開発されたことも、ムンド ノボが姿を消す一つの原因になったといえます。樹高の高いこの品種は、機械収穫機に合わないからです。
長年にわたって情報を集め続け、ブラジルを訪問するたびにこのブラジル生まれのおいしいムンド ノボを求めて各地を探し続けてきましたが、僕をゾクゾクさせてくれる畑にも生産者にも遭遇しませんでした。
しかし、2015年10月19日、ようやくミナス ジェライス州アンドラダスで素晴らしい生産者に巡り会えました。彼は、イタリア移民三世のホセ カルロス マッサロ。家も畑も驚くほど手入れが行き届いていて、質素ですが心豊かな生活をしている一家です。この年の収穫は既に終わっていましたが、彼と農園を歩き回り一番気に入った畑を選んで翌年の収穫に期待して帰国しました。
2016年、収穫期に再び訪問し、見事に赤く実ったチェリーを、機械を使わずにすべて手摘みで収穫してもらいました。樹を痛めたくなかったし、最高の完熟豆だけを集めたかったからです。初めてのイタリア系生産者の作ったコーヒーをお楽しみください。