レクエルド デ イヴァンの畑は、生態系を守りながら最高品質のコーヒーを栽培しているベジャビスタ農園内の、標高1,500〜1,700メートルにあります。「Grand Cru Café」の特級畑で培った技術で大切に育てられており、ベジャビスタ農園の新たな一歩となるコーヒーです。
COFFEE HUNTERS STORY
イヴァンとの出会い
コロンビアの南部カウカ県ポパヤン市郊外のベジャビスタ農園。
僕が、グラン クリュ カフェ用のコーヒーを探し求めてこの農園を初めて訪ねたのは、2008年1月のことでした。農園主のイヴァン トマス レポジェードと妻のアルマは、僕を暖かく迎えてくれました。
2000年に農園を開いたイヴァンは品質向上にとても熱心で、また、自分の農園をとても愛する生産者でした。初対面の僕が話す、これから日本で始めようとしているグラン クリュ カフェの構想を彼は熱心に聞いてくれ、是非自分の農園を見て欲しいと隈なく案内してくれました。そしてそこで僕が惚れ込んでしまうような畑"グアジャバル"を見つけ出すことができ、2008年から日本で紹介を始めました。
更なる挑戦
僕が農園を訪れると、彼はなかなか帰してくれませんでした。もっと他の国の産地の話を聞かせて欲しい、どうしたらもっと品質が良くなるか、と矢継ぎ早の質問が尽きなかったのです。そして毎年、グアジャバルの畑から、最高級のコーヒーを日本に送ってくれました。
ある時、この農園で採れるグラン クリュ カフェ以外のコーヒーを、別のカテゴリーで日本に紹介する構想を話しました。実は僕には、目をつけていた畑があったのです。イヴァンは、とても興奮して目をキラキラさせながら僕の話を聞き、その畑の品質を更に良くするには何をすべきか尋ねてきました。
グアジャバルとは別の尾根に広がるこのなだらかな畑は、日射量も豊富で土壌にも恵まれていましたが、カトゥーラの樹々の合間に別の品種が植えられているのが気になりました。そしてそれを抜根して100%カトゥーラの畑にしようと持ちかけたのです。
イヴァンとの別れ
2011年4月の訪問でも、いつものようにイヴァンとアルマが迎えてくれました。終日農園で過ごし、夕食をご馳走になりながら、これから始まる収穫の話で盛り上がりました。
「ホセ、おまえと一緒に働き出して、農園全体の品質が上がってきたよ。仲間に入れてくれて本当にありがとう。」 彼が、突然僕に握手を求めてきました。 「こちらこそ素晴らしいコーヒーを作ってくれてありがとう。」
翌日僕は、帰国の途に就きました。
翌月の5月22日。イヴァンが農園に行く途中、心臓発作に襲われ急逝したと連絡が入りました。打ちのめされた思いでした。これから一緒にコーヒーの価値を高め、新しい文化を創造していこうと誓い合ったのに・・・。
9月に再び農園を訪問した僕を、気丈にも笑顔で迎えてくれたアルマでしたが、収穫の話になると「グアジャバルの畑の収穫が始まる直前にイヴァンが亡くなってしまい、今年は一粒のコーヒーも渡せない。本当に申し訳ない。」と泣き崩れました。
しかし翌2012年3月、半年ぶりに会ったアルマは、以前よりずっと逞しくなっていました。イヴァンの前妻との娘を僕に紹介しながら「未亡人の農園だと馬鹿にされないように、これからは女二人でこの農園を守っていく。」と力強く話してくれたのです。 そして、ベテランの女性の摘み手だけで収穫グループを編成し、イヴァンと計画していたコーヒーハンターズ用の畑で完熟豆を収穫し、日本に送ると約束してくれました。
イヴァンとアルマと、3人で何度も歩いた思い出の畑のコーヒー。
僕は、この畑を"Recuerdo de Ivan (イヴァンの思い出)"と名付けたのです。