かつてコーヒーファンたちに愛され、内戦により市場から姿を消したペルーのコーヒーを求めて川島が見つけ出したのは、アンデス山脈の向こう側でこつこつとコーヒー作りに励み続けた農園主の努力が結実したコーヒーでした。
COFFEE HUNTERS STORY
アラディーノとの出会い
販売中のコーヒーハンターズ人気銘柄に続く美味しいコーヒーを探そうと思い立ち、2011年11月にペルーを訪れました。僕が目をつけたのは、エクアドル国境地域のコーヒーでした。
首都リマから飛行機で北上し、北部の主要都市チクラヨから車に乗り換えアンデスを目指します。風光明媚なアンデス山脈を越え、途中から話もできないほどの悪路を3時間ほど走ると、ハエン郡チョンタリ村に辿り着きました。
素晴らしいアラビカ種カトゥーラを栽培している生産者がいると聞いていたのですが、それが、アラディーノ デルガードでした。 彼は1975年、チョンタリ村郊外に農園を開きました。当初は暗中模索の中でのコーヒー栽培でしたが、徐々に自信を付け、その上現在では息子二人が手伝うようになりました。そして余裕ができた2008年、新たに開発した高地にカトゥーラを植えたのです。
他の畑は、もちろんそこそこ良かったのですが、長い道程をここまで苦労して来るほどの甲斐があったかと聞かれれば、首を横に振るしかありませんでした。しかし山裾に広がる海抜1,875メートルのこの畑は、旅の疲れを一気に吹っ飛ばしてくれました。まさしく彼の30年の経験を集結させた畑に、翌年初めての収穫を控えたカトゥーラの幼木が、気持ちよさそうに並んでいました。
僕が畑を評価する時は、同じ形状で高さも均一の樹(単一品種)と、樹勢と葉の色が均一(充分でかつ行き届いた施肥)かをチェックします。僕は農園を歩きながら振り返り、「アラディーノ、いい畑を作ったね!おめでとう。」と言いました。彼は照れくさそうにはにかみ、目を瞬たせていました。
"ラグリマ デ アンデス(アンデスの涙)"は、アラディーノの嬉し涙であり、また、このコーヒー樹を潤す優しい雨(涙)に恵まれるようにとの願いを込めて名付けました。