COFFEE HUNTERS STORY
マラゴジッペ
マラゴジッペは、ブラジルで生まれたティピカからの突然変異種です。アラビカ種の中で一番背が高く、葉と実もとても大きいのが最大の特徴です。
メキシコやニカラグア、コロンビアが主な生産地で、高品質のコーヒーとして有名でしたが、病気に弱く生産性も低いため、いつの間にか耐性のある多収量の栽培種に変わってしまいました。ミカフェートを開業して以来、マラゴジッペがあると聞けばどこにでも訪ねて行きましたが、満足できる品質と志の高い生産者に出会えませんでした。
しかし2018年、僕がマラゴジッペを探していることを知っていたエル サルバドルの親友から朗報が舞い込みました。何とエル サルバドルの東部サン ミゲル火山のアントニエタ農園に、高品質のマラゴジッペがあるというのです。もちろん直ぐにアポを取って農園を訪問しました。
農園のオーナーであるジャスパーソン家のルーツはドイツです。1850年代にヨーロッパに見切りをつけた初代が、エル サルバドルに移住し酪農とサトウキビ栽培を始め、コーヒーにも手を広げました。その後二度の世界大戦でも事業を守り抜きましたが、1970年代からのエル サルバドルの内戦・革命と農地開放によって、綿々と受け継がれてきた農地を切り離され、家族も離散せざるを得ない状況になりました。しかしカタリーナ・ジャスパーソンが、2017年に荒れ果てた農園の再興に着手しました。これからも彼女をサポートし、この希少種になってしまったマラゴジッペを、アントニエタ農園の特産品に育てていきます。